治安が極めて良く、教育環境にも定評がある文京区千駄木において、なぜ「住んではいけない」と言われる理由が取り沙汰されるのでしょうか。現地調査と都市計画データを照らし合わせると、街の持つ特有の地形と構造に3つの明確な要因が浮かび上がってきます。
第一の要因は、千駄木の坂道に伴うデメリットです。千駄木駅が位置する不忍通り沿いは谷底のような低地であり、そこから西側の本駒込方面や東側の谷中方面へ向かうには、「団子坂」や「三崎坂」といった急勾配の坂を登る必要があります。電動アシスト自転車がなければ日々の買い物や保育園の送迎に強い身体的負荷がかかり、足腰の弱い高齢者やベビーカーを押す子育て世帯からは「毎日の坂の登り降りが想像以上に過酷」という声が上がっています。
第二の要因は、千駄木のハザードマップと水害リスクへの懸念です。文京区が発行する水害ハザードマップを確認すると、不忍通り周辺や千駄木2丁目・3丁目の一部の低地帯は、想定最大規模の豪雨(総雨量690mm)時に浸水想定区域に指定されています。武蔵野台地の高台に位置する千駄木1丁目の台地エリアとは対照的に、谷底部分は集中豪雨時の内水氾濫リスクが存在するため、低地側での物件選びには階数や排水設備の慎重な確認が求められます。
第三の要因として挙げられるのが、古い木造住宅密集地と狭隘道路(きょうあいどうろ)の存在です。千駄木3丁目や4丁目の住宅街には、車がすれ違えない路地や緊急車両が進入しづらい私道が多く残っています。情緒ある街並みの裏返しとして、火災延焼リスクや耐震基準を満たしていない旧耐震建築物の存在が防災意識の高い検討層から懸念材料視されているのが実情です。