渋沢駅を語る上で、列車接近メロディの存在を外すことはできない。上りホームには『負けないで』、下りホームには『揺れる想い』。ボーカルの坂井泉水さんが秦野市ゆかりの人物であることから導入されたこの演出は、誕生から時が経った現在も色あせるどころか、訪れるファンにとっての特別な体験であり続けている。
駅前の喫茶店で話を聞いた50代の男性は、「毎朝このメロディを聞いて電車に乗るだけで、不思議と背中を押される気分になる」と笑顔を見せる。単なる観光資源としてだけでなく、地域住民の生活のテンポそのものに音楽が溶け込んでいる点が、この駅ならではの情緒を生み出している。