がん治療において、科学的根拠のない代替療法を優先することの危険性は、すでに世界的な疫学調査によって明確に示されています。米イェール大学医学部の研究チームが権威ある医学誌『Journal of the National Cancer Institute (JNCI)』に発表した大規模研究(2017年)は、医療界に決定的な証拠をもたらしました。
この研究では、初期治療として標準治療を拒否し代替医療のみを選択した乳がん患者は、標準治療を受けた患者と比較して5年以内の死亡リスクが5.68倍に跳ね上がることが判明しています。大腸がん患者では4.57倍、肺がん患者では2.17倍と、いずれの部位においても死亡率が急激に悪化していました。
代替療法そのものが直接的に毒性を発揮して命を奪うケースよりも、「標準治療を受ければ治癒可能だったゴールデンタイム(適切な治療時期)を逸してしまうこと」こそが最大の死因となります。小林麻央さんのケースでも、2016年秋に標準治療の拠点病院へ戻った際には、すでに骨や肺への遠隔転移が進んでおり、根治を目指す手術ではなく、QOL維持と痛みの緩和を目的とした局所手術や対症療法に切り替えざるを得なくなっていました。