盤を挟んだ対局が重なるにつれ、二人の会話は単なる勝敗の競い合いから、魂と魂が触れ合う静かな交歓へと変貌していく。メルエムは自らの存在価値を世界制覇ではなく、目の前に座る小さな少女との思考の対話の中に見出し始めた。強者が弱者から学び、弱者の存在によって変化していく不可逆のプロセス。
「余は何のために生まれてきた?」という問いに対し、メルエムが行き着いた答え。それは世界を支配する万能の力ではなく、たった一人と向き合う時間だった。指し示される一石ごとに、二人の精神的な距離は物理的な壁や種族の隔たりを完全に無効化していった。