消化器領域の臨床現場で特に厳重な警戒が払われるのが、腹壁がカチカチに硬直する「筋緊満」である。これは腹膜に強い刺激や炎症が及んだ際、体を守ろうとして筋肉が無意識かつ無条件に強張る生体防御反応だ。
この症状を引き起こす代表的疾患が腹膜炎だ。胃や腸の壁に穴があく消化管穿孔などにより、細菌や内臓穿孔物が腹腔内へ流出すると、耐えがたい激痛とともに腹部全体が硬化する。さらに、内容物の移動が遮断される腸閉塞においても、腸管内圧の著しい上昇に伴ってお腹がパンパンに張り詰め、板のような硬さを呈することがある。どちらも一刻を争う救急処置が求められる極めて危険な状態だ。