柔道の創始者である嘉納治五郎が、講道館において最初に導入したのは白帯と黒帯の2色だけだった。初心者を示す「無段」の白、そして修行を重ねて一定の実力に達した「有段者」の黒。この極めてシンプルな対比は、水墨画のような引き算の美学を感じさせる。白は未熟さと、何色にも染まる素直な心を意味し、黒は度重なる稽古で泥と汗に汚れ、黒ずんでいった歴史を象徴しているという説もある。
その後、少年部や初心者向けに段階的なステップを示すため、茶色や紫といった中間色が導入された。日本国内では今もなお、大人(一般)の帯色は基本的に白、茶(一級〜三級)、そして黒の3パターンが主流だ。このミニマリズムこそが、日本古来の武道精神を体現していると信じる指導者は少なくない。