原作ファンの間でも屈指の人気と絶望感を誇る「セイレーン編(島編)」をベースに再構成された今作。スクリーンに映し出されたのは、ファンタジーという名の皮を被ったあまりにも生々しい生存のリアリティだった。美しい島で繰り広げられる「永遠の命」と「友情」の物語は、映画特有の重厚な音響と圧倒的な作画クオリティによって、観客の胃を締め付けるような緊迫感をもたらした。
特に圧巻だったのは、巨大なセイレーンとの死闘の果てに突きつけられた残酷な現実だ。勝者と敗者の対比、そして「生きていくために何かを奪わなければならない」という原作者・ナガノ氏独特の倫理観が、一切の容赦なく描写されている。映画ならではの新カットとして挿入された「人魚の洞窟」の壁画を見た観客の多くが、絶句したというのも頷ける。