ボルト最高速は時速44.7Km!9秒58の真相と人類最速の秘密

ボルト最高速は時速44.7Km!9秒58の真相と人類最速の秘密

ボルト最高速は時速44.7Km!9秒58の真相と人類最速の秘密の総合ガイドをお届けします。専門的な知識が満載です。

短距離走の速度は極めてシンプルな物理法則、「歩幅(ストライド) × 足の回転数(ピッチ)」で決定されます。一般的に、身長が高い選手はストライドが広くなる反面、四肢の慣性モーメントが大きくなるためピッチが遅くなりがちです。逆に小柄な選手はピッチを高速化しやすいものの、一歩の距離で劣勢に立たされます。

ボルトの革新性は、身長195cmという超大型選手でありながら、ピッチを一切犠牲にしなかった点にありました。ボルトの1秒あたりの平均ピッチは約4.23歩。これは身長180cm前後のトップ選手(4.3〜4.5歩/秒)と比べてもほとんど遜色がありません。41.5歩という極めて少ない歩数(平均ストライド2.44m、最大時2.75m)を保ったまま、小柄なスプリンター並みの回転数で駆け抜けたことこそが、時速44.72kmという計算外の速度を叩き出した第1の要因です。

さらに科学界を驚かせたのが、ボルトが先天的に抱えていた「脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)」の影響でした。NHKスペシャル『ミラクルボディー』をはじめとする各国の生体力学研究チームがボルトのフォームを3D解析した結果、背骨がS字に湾曲している影響で、骨盤が左右不均等に傾き、左右の脚の接地パターンが大きく異なっている事実が判明しました。

通常、左右非対称な走法は推進ロスにつながると指導現場では矯正対象とされます。しかしボルトの場合、右足が接地した際に自身の体重の約4.5倍(約400kg以上)という凄まじい地面反力を生み出し、左足はストライドを広げてバランスをとるという、独自の最適化された動力学的サイクルを無意識に構築していました。かつて自伝やロングインタビューでボルト本人が「走っている最中に背骨の歪みを意識したことなどない。コーチと追求したのは、自分の身体が持つ力をどう地面に伝えるかだけだった」と語った通り、欠陥と見なされがちな身体的特徴を比類なきバネへと昇華させたのです。

森 瞳
Author

森 瞳

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。