ネット上の情報や都市伝説には、ヒトデの裏側に関して科学的事実と異なる誤解が散見されます。生物学的な実態を検証し、代表的な3つの誤解を正します。
誤解1:脳がないから意識も知性もなく、ただ反射で動いている?
ヒトデには大脳や中枢神経系が存在しません。しかし、中央の神経環と腕に伸びる放射神経が高度に連携する自律分散型ネットワークを形成しています。障害物に直面した際、それぞれの管足が独自に環境を感知しながら、全体の多数決のように協調して移動方向を決定します。これは現代のロボティクスやAI分野でも模倣される極めて洗練された情報処理システムです。
誤解2:裏側から染み出る黄色い液体は危険な毒液?
磯遊びなどでヒトデを触った際、黄色やオレンジ色の粘液が付着することがあります。一部の有毒種(オニヒトデなど)を除き、一般的なマヒトデやイトマキヒトデの分泌液に人間を害する強い猛毒はありません。この液体の正体は、体を保護する粘液タンパク質や消化液、生殖細胞の一部です。ただし、海洋細菌が付着している可能性があるため、素手で触れた後は必ず真水と石鹸で洗浄することが鉄則です。
誤解3:裏返すと自力で起き上がれずそのまま死んでしまう?
砂浜に裏返しで置かれたヒトデも、決して無力ではありません。腕の先端を反転させて管足を地面に接地させ、てこの原理を応用して体をゆっくりとねじる「反転行動(Righting Response)」を行います。健康な個体であれば、数分から十数分程度で完全に元の体勢へと復帰します。