2000年代中盤の日本市場では、おサイフケータイ(FeliCa)、ワンセグ、着うたフル、防水・防塵、高画素カメラなど、世界最高峰の多機能端末が次々と誕生しました。しかし、国内市場の過度な最適化に特化した結果、国際標準の仕様やグローバル市場から孤立してしまう現象が顕在化します。これこそが、独自の生態系を築いた島になぞらえて名付けられたガラパゴス化の真相です。
国内キャリア主導の垂直統合型モデルは、高品質なサービスと端末の密接な連携を実現した反面、世界規模で進むオープンなインターネット標準との乖離を生んでいました。そこへ登場した黒船が、2008年7月にソフトバンクから日本市場へ投入された米アップルの「iPhone 3G」でした。
当初は「赤外線通信ができない」「おサイフケータイ非対応」「ワンセグが見られない」といった理由から、日本のユーザーには受け入れられないとする懐疑的な見方も少なくありませんでした。しかし、直感的なタッチパネル操作、洗練されたUI、そして世界中の開発者が提供するApp Storeのアプリケーションエコシステムが、従来のガラケーの常識を覆します。
日本国内でスマホ普及の理由が決定打となったのは、単なる端末性能の優劣ではなく「ソフトウェアとプラットフォームの自由度」でした。Twitter(現X)やLINE、InstagramといったSNSの普及に伴い、PCと同等のブラウジング体験とアプリ拡張性を備えたスマートフォンは、若年層から幅広い世代へと急速に浸透していきました。