下馬評を覆す勝利を収めた挑戦者は、試合開始直後から圧倒的なプレッシャーをかけ続けた。前評判では「王者の打撃による判定勝ち」が濃厚とされていたが、勝負を決めたのはほんの一瞬の隙を突いた右クロスだった。踏み込んだ王者のアゴを的確に打ち抜き、追撃のパウンドを打ち込む間もなく審判が割り込んだ。
試合後のインタビューで新王者は、「相手の癖は数千回映像を見て頭に叩き込んでいた。狙い通りのタイミング。自分の人生で最高の夜になった」と声を詰まらせながら振り返った。敗れた前王者も潔く相手の強さを認め、互いにノーサイドの抱擁を交わす姿に客席からは惜しみない拍手が送られた。