日本国内で自発的な死の権利が爆発的な議論を呼ぶ契機となったのは、多系統萎縮症を患った小島ミナさんの決断だった。全身の筋肉が徐々に動かなくなり、やがて人工呼吸器なしでは生きられなくなる恐怖。彼女がスイスの支援団体のもとで自ら点滴のストッパーを開き、家族に見守られながら旅立った軌跡は、NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」として放映された。
この番組は大きな反響を呼び、放送後もNHKオンデマンドを通じて数多くの視聴者に届き続けている。画面越しに突きつけられた彼女の穏やかな表情と、寄り添う姉たちの慟哭。単なる観念論にとどまっていた死の自己決定権は、医療ジャーナリズム・ドキュメンタリーの力によって、国民一人ひとりが自らの命の終わり方を問う具体的な課題へと昇華した。