甲子園球場の三塁側アルプススタンド。そこには、兵庫県西宮市でありながら「広島の街」そのものが立ち現れる。真っ赤に染まったスタンドから響く吹奏楽部の演奏と、伝統の応援ソング。プロ野球・広島東洋カープの応援スタイルを汲み込む独特の熱気が、球場全体を包み込む。
「アルプスからの声援を聞いた瞬間、鳥肌が立った。身体の奥から力が湧いてくるのを感じた」。そう語るのは、主力を務めた3年生の選手だ。阪神甲子園球場という独特の魔物が棲む空間において、この圧倒的な大応援団は球児たちにとって最大の盾となり、槍となる。
相手チームにとってみれば、まるで敵地に乗り込んだかのような錯覚に陥る。一つのストライク、一つのファウルフライにまで湧き上がる地鳴りのような拍手。応援の力が試合の流れを強引に引き寄せる瞬間を、現地で何度も目撃した。