かつてテレビは、局が提示する映像がすべてだった。しかし、スマートフォンの普及と位置情報サービスの進化がその構図を根底から覆した。現在では、ランナーがスタートした瞬間から、ネット上の有志たちによる「GPS追跡班」が稼働する。彼らはランナーの予測ルートを割り出し、実際に沿道で待ち伏せ、その様子をライブ配信やSNSへの写真投稿でリアルタイムに共有していく。
この徹底した監視体制により、物理的に「車に乗って移動する」といった古典的な不正は事実上不可能になった。それでもなお疑惑の目が向けられるのは、放送時間と実際の走行ペースの不自然なズレや、カメラが回っていない時間帯のランナーの動向が不透明だからだ。情報の非対称性が崩れた今、視聴者はテレビの画面越しではなく、ネットの集合知を通じて番組の「リアル」を検証している。