この難役を完璧に肉体化した阿部寛の演技力についても、改めて触れなければならない。長身と彫りの深い顔立ちから繰り出される圧巻のオーラは、海外のロケーションにおいても現地キャストにまったく引けを取らない国際級の存在感を放っていた。
言葉少なに視線一つで相手の嘘を見破る緊迫感あふれるお芝居から、ジープを疾走させて味方を救出する迫力満点のアクションシーンまで、阿部のパフォーマンスは圧倒的だった。特に、乃木の正体が「別班」だと確信していく過程で見せた眼光の鋭さは、画面越しにも鳥肌が立つほどのリアリティを醸し出していた。役者・阿部寛の代表作として間違いなく歴史に刻まれる怪演であった。