足を洗う決意をした西村を待ち受けていたのは、組にいた頃以上の過酷な現実だった。全国で施行された暴力団排除条例と、警察庁が主導する徹底的な社会包囲網。いわゆる「元暴5年条項」の壁が、更生を目指す元組員たちの前に立ちふさがる。
銀行口座の開設拒否、賃貸住宅の契約不可、クレジットカードの作成停止。社会的なインフラから完全に排除され、まともな職に就くことすら許されない。小指のない手と全身の刺青は、どこへ行っても冷たい拒絶の対象となった。「ヤクザを辞めても人間として生きられない」という絶望的な孤立。それでも彼女は裏の誘惑を断ち切り、日雇いの重労働や清掃作業にしがみつきながら、泥水をすする思いで一歩ずつ更生への階段を這い上がっていった。