かつて名作『JAWS/ジョーズ』が世界中に植え付けた「冷酷な人食いモンスター」というステレオタイプは、映画『ロスト・バケーション』のような緊迫感あふれるワンシチュエーション・スリラーへとも受け継がれ、エンターテインメントとしての恐怖を増幅させてきた。しかし、スクリーンが描き出す刺激的な恐怖描写と、生物学的な現実は大きく異なる。
近年ではディスカバリーチャンネルの名物企画『シャーク・ウィーク』や、ナショナル ジオグラフィックの綿密な調査報道、そしてNetflixで配信される臨場感豊かなサバイバル・ドキュメンタリーを通じて、彼らの真の生態が広く知られるようになった。人間を故意に標的とするのではなく、サーフボードのシルエットをアザラシなどの獲物と誤認して起こる「テストバイト(試し噛み)」が事故の大半を占めるという事実は、過度な恐怖を解きほぐす客観的な視点を提供している。