自宅でこの究極の鍋を作るなら、出汁の設計にすべてを賭けるべきだ。プロの和食料理人が明かす、家庭で料亭級のコクを出すための秘伝プロセスを紹介しよう。
ベースとなるのは、昆布と鰹節で濃いめに取った合わせ出汁。ここに白味噌と信州味噌を7対3の割合で溶き入れる。最大の隠し味は、あらかじめ酒蒸しにして裏ごしした「あん肝ペースト」を出汁の半量にしっかりと混ぜ合わせておくことだ。これにより、煮込む前からスープ全体に海のフォアグラの重厚な旨味が溶け渡る。
具材の投入順にも緻密なロジックが存在する。まず白菜や長ネギ、エノキなどの野菜を敷き詰め、その上に牡蠣を並べて中火でじっくり火を通す。牡蠣のエキスがスープに馴染んだところで、下処理(塩水で洗い、熱湯に数秒くぐらせて冷水に取った)した白子とカットしたあん肝を投入。白子は決して煮込みすぎてはならない。表面がぷっくりと膨らんだ瞬間が最高の食べ頃だ。火を止める直前に生のいくらを山盛りにトッピングし、刻んだ青ネギと柚子の皮を散らせば、五感を揺さぶる極上の一杯が完成する。