原作者であるつくしあきひとが構築する世界は、現代のダークファンタジーにおいて極めて異彩を放っている。グロテスクな異形を描きながらも、そこには無秩序な怪獣趣味ではなく、確固たる生物学的リアリズムが息づいているからだ。
出版業界大手の竹書房が擁するウェブプラットフォームで連載される本作は、美麗で柔らかなキャラクター造形と、過酷極まりない自然環境との冷徹なコントラストによって読者の情緒を激しく揺さぶる。つくし氏の描く生物たちは、アビスの呪い(上昇負荷)という不可視の物理法則に逆らわず、むしろそれを利用して生き延びるための器官を進化させてきた。
過酷な環境に適応した形態美。それは倫理を超えた自然の驚異であり、だからこそ読者は恐怖とともに圧倒的な崇高さを感じずにはいられない。