禁煙外来の臨床データや厚生労働省の依存症対策資料が示す通り、禁煙3日目離脱症状ピークを迎える背景には、明確な薬理学的根拠が存在します。タバコを吸う習慣が定着していた喫煙者の脳内では、外因性のニコチンが神経伝達物質「アセチルコリン」の受容体を不自然に刺激し、快感物質であるドパミンを過剰放出させ続けていました。
最後の1本をもみ消してから約2時間で血中ニコチン濃度は半減し、およそ48時間から72時間の経過をもって体内ニコチン消失の経緯は最終局面を迎えます。尿中や呼気中からニコチンおよびその代謝産物であるコチニンがほぼ枯渇するこのタイミングで、脳の受容体は激しい「飢餓状態」へと突入します。外部からの供給が断たれた一方で、脳自体の神経伝達機能はまだ自活できていないため、神経伝達のバランスが極度に崩壊するのです。
医学的に見てもニコチン禁断症状の期間は、この3日目(72時間)を頂点として放物線を描くように沈静化へと向かいます。つまり、いま直面している激しい葛藤は「一生続く苦しみ」ではなく、身体から薬物が抜け切る瞬間に生じる一時的な反動に過ぎません。