平滝夜叉丸のパーソナリティを掘り下げる上で外せないのが、委員会活動における立ち居振る舞いです。「忍術学園のブレーキの壊れた暴走機関車」こと六年ろ組の七松小平太が委員長を務める体育委員会において、夜叉丸は極めて貴重なバランサーとして機能しています。
小平太の「いけいけどんどん!」という過激な体力トレーニングに振り回され、疲弊する一年生(皆本金吾ら)をさりげなく気遣い、時には委員長に対して物申す度量を見せます。普段のうぬぼれキャラからは想像もつかない面倒見の良さと、後輩への責任感の発露は、視聴者を唸らせる「良き先輩」の姿そのものです。
そして、この濃密なキャラクター性を完成させているのが、名優・山崎たくみ氏による卓越した声の演技です。艶やかさと気品、そして突き抜けたコミカルさを絶妙なバランスで成立させる声の抑揚が、夜叉丸の存在感を唯一無二のものに押し上げました。
劇中で飛び出す数々のセリフは、ファンの間で名言として語り継がれています。
「実力と美貌を兼ね備えた忍術学園のスーパードーナッツ……あ、いや、スーパースター!」
「私の美しさと戦棍の冴えに、見とれて怪我をしないでくれたまえよ」
自信満々に言い放ちながら噛んでしまう愛嬌や、自画自賛の言葉を浴びせる際の流れるようなトーンは、山崎氏の巧みな職人技があってこそ成立するエンターテインメントと言えます。