2016年の東京都知事選。小池氏が自民党東京都連の推薦を得ずに孤立無援の立候補を宣言した際、政界の誰もが彼女の謀反を注視した。このとき、かつて小泉氏が「自民党をぶっ壊す」と叫んだ既成政党への挑戦状が、今度は小池氏によって自民党そのものに向けられたのは皮肉な運命だった。自民党内の旧態依然とした権力構造を「ブラックボックス」と名指しして批判した彼女の手法は、まさに小泉政治の正統な再現にほかならない。
都知事選の最中、小泉氏は表立った全面支援こそ控えたものの、彼女の姿勢に対して冷ややかな視線を送ることはなかった。むしろ、自らの力で荒波に飛び込んでいく弟子に対し、陰ながらのエールを送っていたとされる。見事に知事選を制し、首都・東京のトップに立ったことで、小池氏は「小泉の刺客」という過去のレッテルを完全に脱ぎ捨て、一人の独立した指導者としての地位を確立したのである。