足利事件を単独の事案として捉えることはできない。群馬県と栃木県の半径約10キロ圏内で発生した5件の幼女誘拐・殺害事件、いわゆる「北関東連続幼女誘拐殺人事件」の文脈に位置づけて初めて、その真の恐ろしさが見えてくる。
菅家氏を犯人として逮捕・収監したことで、警察は一連の連続事件における最重要の容疑者を野放しにし、結果としてその後の凶行を許すことになった疑いが極めて強い。時効の成立を盾に捜査を打ち切ろうとする姿勢に対し、遺族や市民社会からの怒りは今も消えていない。
無実の人間を罰したことと同じくらい重い罪は、真犯人を見逃したことにある。誤判捜査が生み出した空白の時間は、被害者の尊厳を二重に傷つけ、地域社会に深い爪痕を残した。この未解決の闇と向き合わない限り、警察と検察の信頼回復はあり得ない。