連続テレビ小説の歴史を語る上で、作家たちの強烈な個性と筆力は無視できない。橋田壽賀子が描いた膨大な台詞量と人間関係の機微は、ホームドラマの枠組みを借りた骨太な社会批評であった。嫁姑問題や家族の葛藤を真正面から捉え、逃げ場のない対話劇で視聴者を釘付けにした筆致は、今なおテレビドラマ界の最高峰として君臨している。
その伝統的なフォーマットに風穴を開けたのが宮藤官九郎だ。疾走感あふれる会話劇、小ネタの乱れ打ち、そして不意に訪れる哀愁。朝の定番だった「健気なヒロインの成長譚」という予定調和を小気味よく解体し、サブカルチャーと大衆性を鮮やかに融合させた。重厚な心理描写とスピーディな諧謔性。対極にある二人の筆致を再放送で味わい直すことは、日本の脚本史を紐解く贅沢な知的好奇心を満たしてくれる。