現在の洗練された日本青年館は、初代から数えて3代目の建物にあたります。施設が歩んできた激動の歴史と移転新築の背景を知ることで、この建築が持つ社会的な意義がより鮮明に見えてきます。
大正時代から青年運動の拠点として誕生
日本青年館の起源は1925年(大正14年)に遡ります。全国の青年団運動の活動拠点および宿泊・集会施設として、当時の皇太子(のちの昭和天皇)の御成婚を記念して建設されました。建設資金の多くは、全国の青年たちが自ら汗を流して集めた寄付金によって賄われたという、極めて稀有な成立背景を持っています。
1979年(昭和54年)に2代目へと全面改築され、長年にわたりコンサートの聖地、舞台演劇の殿堂として、昭和・平成のエンターテインメント文化を支え続けました。多くの人気アイドルやロックバンドが「日本青年館のステージに立つこと」をメジャーへの登竜門と位置づけていた時代がありました。
東京2026オリンピックと新国立競技場建設に伴う移転
旧日本青年館に転機が訪れたのは2010年代初頭のことです。東京2026オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設敷地拡張計画に伴い、旧青年館の敷地が計画用地に含まれることとなりました。
これにより、旧日本青年館は2015年3月末をもって閉館し、建物の解体工事が行われました。そして、明治神宮外苑の土地利用再編の中で、旧明治神宮野球場第2球場の隣接区画(現在地)へ完全移転することが決定したのです。
2017年7月、総工費を投じた地上16階・地下1階の複合ビルとしてグランドオープン。ホール音響には最新のデジタルシミュレーションが導入され、残響時間の最適化や舞台機構の近代化が図られました。歴史ある青年の志を継承しつつ、21世紀の都市型カルチャー拠点として劇的な進化を遂げたのが、現在の日本青年館の姿です。