他県からの転入者が最も困惑するのが、徳島県独自の「基礎学力テスト至上主義」とも呼べる選抜プロセスです。法制上、合否は3月に実施される公立高校一般選抜の「学力検査得点(本番テスト)」と中学校から提出される「調査書(内申書)」によって判定されます。しかし、実質的な選抜は1月の第3回基礎学力テスト終了直後の三者面談でほぼ完了しているのが公然の事実です。
徳島県教育委員会が公表する募集要項では、一般選抜における徳島県公立高校倍率は、例年ほとんどの普通科で1.00倍〜1.15倍程度の極めて狭い範囲に収まります。都市部のように1.5倍や2.0倍といった激しい倍率競争が起きない理由は、各中学校の進路指導において、基礎学力テストの点数をもとに各高校の定員枠へ生徒をきれいに割り振る「事前調整(事実上の事前選考)」が機能しているためです。
ここで極めて重要になるのが、徳島県高校入試内申点の正確な配点と扱い方です。調査書の内申点は、中学1年生から中学3年生までの全学年が評価対象となります。具体的には以下の計算式に基づきます。
- 中1:9教科 × 5段階 = 45点
- 中2:9教科 × 5段階 = 45点
- 中3:9教科 × 5段階 = 45点 +(実技4教科の傾斜配点等を加味する自治体規定)
- 合計内申点:概ね195点満点(学校・選抜方式により相関図を用いた総合選抜判定を実施)
ネット上の掲示板やSNSでは「基礎学で点数が取れていれば内申点は関係ない」という言説が散見されますが、これは明白な誤解です。現場の進路指導主事はこう明かします。「基礎学の点数がボーダーライン線上に並んだ場合、最後に合否を分けるのは内申点です。特に城東や徳島北といった上位校では、受験生の基礎学力テストの点数が極めて僅差で密集するため、通知表に『3』が並んでいる生徒は中学校側が出願のGOサインを出しにくくなります」。
第1線で戦う受験生にとって、定期テストで確実に内申点を確保しつつ、応用力が問われる基礎学力テストで高得点を維持するという二重の重圧を乗り越えることが、第一志望突破の絶対条件となっています。