本作の映像世界を語る上で外せないのが、巨匠・黒澤明が確立した重厚なダイナミズムの現代的再解釈だ。スクリーン全体から漂う湿度の高い空気感、大人数の殺陣シーンにおける計算し尽くされたカメラワークは、まさに昭和の金字塔を彷彿とさせる。
長年にわたり日本の映画文化を牽引してきた東映は、本作を単なる懐古趣味にとどめない。徹底した時代考証に基づきつつ、現代の観客の胸を突き刺すスリリングな心理戦を融合させた。緻密な伏線が複雑に絡み合う本格歴史サスペンスとして、従来の時代劇ファンのみならず若い世代の心も掴む仕掛けが施されている。