森山良子の音楽的バックボーンを語る上で欠かせないのが、父・森山久の存在だ。戦前のサンフランシスコで育ち、日系人バンドでトランペット奏者として活躍した久は、帰国後も日本のジャズ黎明期を力強く牽引した。一方、母の浅田陽子もハワイアンのパイオニア歌手として知られ、家の中には常に本物のジャズやハワイアンミュージックが流れていたという。
幼少期の良子が日常的に触れていたのは、楽譜を超えた本物のリズム感とニュアンスだった。この贅沢な環境こそが、後に彼女が見せる圧倒的な声量と、ジャンルを軽々と飛び越える歌唱力の源泉となった。血脈として受け継がれた音楽のDNAは、息子の直太朗へと受け継がれ、世代を超えた「森山家の音」として結実している。