日本テレビ放送網の日曜夕方を支える看板番組『笑点』。その大喜利コーナーにおいて、六代目三遊亭円楽と終生のライバル・桂歌丸が繰り広げた丁々発止の応酬は、もはや日本の演芸史に残る伝説だ。「ハゲ」「ジジイ」と容赦なく浴びせかける罵倒の嵐に、会場は爆笑に包まれながらも、どこか心地よい温もりに満ちていた。
だが、カメラが止まった瞬間の空気を知る関係者は一様に語る。罵倒の直後、舞台裏へ戻る通路で深々と頭を下げ、歌丸の体調を気遣っていたのは他でもない円楽だった。徹底したヒール役に徹しながら、番組全体のグルーヴを計算し尽くす。歌丸が司会へ勇退した際、誰よりもその体調を案じ、客席から熱い視線を送っていた姿は、打算を超えた敬愛そのものだった。