私立大学の雄である慶應義塾大学は、有名企業への高い就職実績率を長年維持し続けている。強力な同窓会組織「三田会」のネットワークもさることながら、早い段階からビジネスの最前線に触れる環境が整っている点が大きい。しかし、その慶應生たちの就職先リストにも構造の変化が見られる。
日本のモノづくりを象徴するトヨタ自動車をはじめとする伝統的製造業や巨大インフラ企業は、現在も確固たる採用基盤を維持している。だが、かつてのような「慶應・早稲田からの大量一括採用」一辺倒ではない。完成車メーカーや重工大手も、電動化や自動運転といったモビリティ革新に対応するため、文系・理系を問わずデジタル領域に強い即戦力型人材を厳選する傾向を強めている。企業の看板ではなく、個の専門性が問われる時代へのシフトが顕著だ。