高松市美術館が世界中の研究者やキュレーターから熱視線を浴びる最大の理由は、戦後現代美術と香川が誇る「讃岐漆芸」という、一見すると対極にある二大コレクションの共存にある。玉楮象谷から続く彫漆や蒟醤の至宝は、気の遠くなるような手技と時間の積層が結実した小宇宙だ。
全国美術館会議のネットワークにおいても高く評価されているこの二軸構造は、単なるジャンルの併置ではない。漆の研ぎ澄まされた黒や朱の深淵と、アバンギャルドな現代アートの挑戦的なマテリアルが同じ館内で火花を散らす。伝統とは常にその時代の前衛であったという事実を、これほど雄弁に物語る場は他にない。