海堂尊という作家を語る上で欠かせないのが、現役医師としてのリアルな臨床・研究経験です。1961年に千葉県で生まれた海堂氏は、千葉大学医学部を卒業後、同大学大学院医学研究科を修了した医学博士です。外科医として研鑽を積んだ後、病理医へと転身した経歴を持ち、これが作中の精緻な解剖描写や病理診断シーンの圧倒的なリアリティを支えています。
ネット上でしばしば検索される海堂尊の本名や医師経歴についてですが、作家活動においては筆名を貫いているものの、医学界での論文発表や医療政策に関する公的なシンポジウムでは本名での活動履歴も確認されています。過去の勤務先病院の真相としては、千葉大学医学部附属病院や放射線医学総合研究所(放医研)重粒子医科学センターなど、国内トップクラスの医療研究機関で病理診断や研究に従事してきました。
特に海堂氏のライフワークとも言えるのが、「Ai(Autopsy imaging:死亡時画像診断)」の提唱と普及です。従来の日本の医療界では、死因究明のための解剖率が極めて低く、医療事故や犯罪の見逃しが構造的な問題となっていました。海堂氏は「CTやMRIを用いて遺体を画像診断するシステム」の導入を作品内外で強力に訴え続け、実際に国の医療政策や死因究明等推進法の成立を大きく後押しした実績を持ちます。