東京のビジネス街である八丁堀・茅場町エリア。この界隈は舌の肥えた会社員たちが集う町中華の名店がひしめく激戦区として知られています。その中でもひときわ異彩を放ち、圧倒的な支持を集めていたのが「中華シブヤ」でした。
同店の名を世に知らしめたのは、他店とは一線を画す伝説のニラ玉です。通常の中華料理店でニラ玉といえば、溶き卵と刻んだニラを一緒に炒め合わせたものを想像する方が大半でしょう。しかし、中華シブヤのニラ玉は全く異なるアプローチで作られていました。
大皿の中央に鎮座するのは、油をたっぷり吸ってふんわりと焼き上げられた黄金色の半熟玉子。その上には、惜しげもなく山盛りにされた生のニラがどっさりと盛られ、仕上げにニンニクと醤油が香る熱々の特製タレがジュワッと回しかけられていました。熱せられたタレと油の余熱によって、生のニラが絶妙にしんなりとしつつもシャキシャキとした食感を残し、濃厚なタレとマイルドな卵が三位一体となって口いっぱいに広がる仕掛けです。
当時の中華シブヤの口コミや評判を振り返ると、「白米が何杯でも進む悪魔的な旨さ」「ビールのアテとしてこれ以上のものはない」と絶賛の嵐。ランチタイムには行列が途切れず、夜はニラ玉をつまみに乾杯する常連客で常に活気に満ち溢れていました。