受傷直後の初期対応の成否が、その後の治癒期間を何週間も左右します。怪我をした直後は、基本となる応急処置RICE処置の手順を速やかに実行することが鉄則です。現代スポーツ医学では保護(Protect)を加えた「PRICE」や、適切な負荷(Optimal Loading)を促す「POLICE」という概念も普及していますが、受傷当日の家庭でのファーストエイドとしてはRICEの原則が依然として最も確実です。
- Rest(安静):無理に歩かず、安全な場所に座るか横になります。患部を動かさないよう固定します。
- Ice(冷却):ビニール袋に氷と少量の水を入れ、タオル越しに患部へ当てて15〜20分間冷却します。感覚が鈍くなったら外し、再び痛み出したら冷やすサイクルを受傷後24〜48時間の間、断続的に繰り返します。※凍傷を防ぐため保冷剤の直接貼付は避けてください。
- Compression(圧迫):弾性包帯やつなぎのテーピングで患部を軽く圧迫し、内出血と腫脹の拡大を物理的に抑えます。ただし、足先が痺れたり変色したりするほど強く締め付けないよう注意が必要です。
- Elevation(挙上):クッションや座布団を使い、患部を「自分の心臓より高い位置」に保ちます。重力を利用して静脈血やリンパ液の戻りを促し、患部の内圧上昇による激痛を緩和させます。
応急処置を施したうえで、最も重要となるのが整形外科の受診目安の見極めです。「整骨院(接骨院)」と「整形外科(病院・クリニック)」のどちらに行くべきか迷う声も多く聞かれますが、骨折の有無を確定診断できるのは医師免許とX線・エコー・MRI検査機器を持つ整形外科のみです。柔道整復師による施術も応急手当としては認められていますが、骨折の疑いがある場合は医師の同意が法律上必要となります。したがって、見分けがつかない受傷初期の段階では、迷わず整形外科を受診するのが最短かつ最も安全なルートです。