夏目雅子の芸能生活は約9年間という短い期間でしたが、その出演作は常に日本中を席巻する話題作ばかりでした。1977年、カネボウ化粧品の夏のキャンペーンガール「クッキーフェイス」に抜擢。小麦色に美しく日焼けしたビキニ姿で登場したポスターは、街中から盗難が相次ぐほどの社会現象を巻き起こしました。それまでの日本的な白肌美人像を覆す、健康的で眩い美しさは新時代の到来を告げるものでした。
そして1978年、日本テレビ開局25周年記念ドラマ『西遊記』において、男性僧侶である三蔵法師役に大抜擢されます。当時としては異例の女性による僧侶役でしたが、彼女が醸し出す神々しいまでの透明感と気品は、孫悟空役の堺正章や沙悟浄役の岸部シローら個性派俳優陣を見事に統率し、最高視聴率27%を超える大ヒットを記録しました。
さらに1982年、彼女の評価を決定づけたのが東映映画『鬼龍院花子の生涯』(五社英雄監督)です。清純派のイメージを完全に脱ぎ去り、迫真の演技を披露。劇中で放った「なめたらいかんぜよ!」という啖呵は、その年の流行語となり、彼女はブルーリボン賞をはじめとする主演女優賞を総なめにしました。