かつてロッテオリオンズの本拠地として親しまれた旧川崎球場は、1988年10月19日に行われた近鉄バファローズ対ロッテオリオンズのダブルヘッダー、通称「10.19」の決戦舞台としてスポーツ史に深く刻まれています。超満員のスタンドが揺れ、テレビ中継が急遽全国放送へと切り替わったあの熱狂は、今なお語り草です。また、大仁田厚氏率いるFMWの電流爆破デスマッチなど、昭和から平成初期のサブカルチャーやプロレス興行の象徴でもありました。
しかし、建物の老朽化が進んだことから2000年にスタンドの大規模解体が実施され、施設はアメリカンフットボールやサッカー、ラクロスに対応する川崎富士見球技場へと再整備されました。転換点となったのは2014年、富士通がネーミングライツを取得したことです。これにより呼称が「富士通スタジアム川崎」へと改められ、社会人アメリカンフットボール・Xリーグの強豪である富士通フロンティアーズのホームグラウンドとして機能する基盤が整いました。
現在でもスタジアムの一角には「10.19」当時の外野フェンスの支柱やレリーフ、旧照明塔の基部が保存されており、歴史的記憶を次世代へ継承するモニュメントとしてファンの胸を熱くさせています。単なるスクラップ・アンド・ビルドではなく、過去の文脈をリスペクトしながら最新の球技専用スタジアムへ昇華させた点に、この場所が持つ唯一無二の価値があります。