息子の成長ストーリーを語る上で欠かせないのが、小学生時代の過酷なお受験体験だ。母・岸谷香は当時、アーティスト活動のペースを調整し、息子の塾通いや膨大な学習スケジュールのサポートに心血を注いだ。毎日の手作り弁当や学習管理など、文字通り二人三脚で挑んだ中学受験は、結果として都内の超難関校への合格という形で結実する。
しかし、本番はそこからだった。名門校でのハイレベルな競争環境のなかで、思春期特有の葛藤や進路に対する迷いも生じた。そこで母が選択したのは、日本の既存の枠組みに閉じ込めることではなく、広い世界を見せることだった。アメリカ留学という選択肢は、親の過保護から完全に脱却し、彼が「岸谷夫妻の息子」ではなく「一人の個」として自尊心を確立するための必然のステップだったといえる。