骨盤の横幅や恥骨弓角度の違いは、全身のバイオメカニクスに直結する。女性の幅広な骨盤は大腿骨の傾斜角度(Qアングル)を増大させ、膝が内側に入りやすいアライメントを生み出す。その結果、骨盤の前傾が強まり、反り腰や仙腸関節への過剰な剪断応力が発生し、慢性的な腰痛や股関節痛を誘発しやすい。対照的に、男性の狭く直立した骨盤はハムストリングスの柔軟性低下に伴う骨盤後傾を招きやすく、腰椎椎間板への圧迫ストレスを高める傾向がある。
自身の骨盤特性を見分ける簡便な方法として、壁を背にした立位チェックがある。後頭部、肩甲骨、臀部、踵を壁につけた際、腰と壁の隙間に手のひら1枚がぴったり収まる状態が理想的だ。隙間に拳が入るほど空いている場合は骨盤の過度な前傾、手のひらが入らないほど密着している場合は骨盤の後傾が疑われる。日本整形外科学会が発信する知見や、世界的な医学論文データベースPubMed、国内の医中誌Webに蓄積された臨床研究でも、骨盤のアライメント不良と腰痛発症リスクの因果関係が数多く報告されている。