強力粉と薄力粉を分ける最大の境界線は、小麦粉に含まれるタンパク質含有量と、水を加えて練った際に生じるグルテン形成の力強さにあります。
製粉大手各社や製パン・製粉研究機関(ベーカリスタ等)のデータによると、強力粉にはガラス質の硬い粒を持つ「硬質小麦」が用いられ、タンパク質が11.5〜13.0%程度含まれています。一方の薄力粉は、粒が柔らかい「軟質小麦」を主原料とし、タンパク質含有量は6.5〜9.0%程度に抑えられています。このわずか4〜5%前後の数値の開きが、調理結果に天と地ほどの差を生み出します。
小麦に含まれる主要タンパク質である「グリアジン(粘弾性のうち伸びを司る)」と「グルテニン(弾力を司る)」は、水分を吸収して物理的な摩擦(こねる作業)が加わることで結合し、立体的な網目構造を持つ「グルテン」へと姿を変えます。タンパク質が豊富な強力粉は極めて強靭なグルテン膜を形成し、イーストが放出する炭酸ガスを逃さず抱え込みます。これが、パン作り強力粉が欠かせない絶対的な理由です。
逆に、気泡を抱え込む強い網目が邪魔になる焼き菓子や揚げ物では、グルテンの発生を極力抑えなければなりません。だからこそ、お菓子作り薄力粉が鉄則となり、サクサクとした歯切れの良さや、口の中でホロホロと崩れる食感が生み出されるのです。