事故以降、パッケージや製法の刷新を図り再起を期した桃の天然水でしたが、市場環境は過酷さを増していました。コカ・コーラ「い・ろ・は・す」やサントリー「天然水 朝摘みオレンジ」など、強力な競合他社がフレーバーウォーター市場に本格参入し、激しいシェア争いが勃発したためです。
さらに、JTの飲料事業全体が自販機設置場所の確保や維持コストの高騰に苦しみ、赤字基調から抜け出せない構造的課題を抱えていました。そして2015年、JTは主力の中核事業であるたばこ事業へ経営資源を集中させるため、清涼飲料事業からの完全撤退を正式発表しました。
この撤退劇に伴い、缶コーヒー「Roots(ルーツ)」や「桃の天然水」などの主要ブランド資産、および自動販売機事業を手がける子会社株式は、飲料国内大手のサントリー食品インターナショナルへ譲渡されることになりました。こうしてJT版の桃の天然水は、約20年の歴史に静かに幕を下ろしたのです。