戦前の日本でもカフェブームは盛り上がりを見せましたが、第二次世界大戦の勃発とともにコーヒー豆は「敵性国の贅沢品」として1944年に輸入が全面停止されます。大豆やドングリを炒った「代用コーヒー」で飢えをしのぐ暗黒期を経て、戦後の復興期へと突入します。
日本コーヒー史における最大の転換点が訪れたのは1960年です。戦後の経済成長に伴い、政府は貿易自由化政策を推進。コーヒー豆の輸入枠制限が撤廃されたことで、大手食品メーカーや焙煎業者が海外から良質な生豆を安定的に調達できるようになりました。
この規制緩和により、日本のコーヒー消費量推移は急勾配の上昇を描きます。1960年当時は年間約1万トン前後だった生豆輸入量は、1970年には約10万トン、1980年代には約25万トンへと急伸しました。全国の街角に「純喫茶」や「ジャズ喫茶」が激増し、家庭内でもインスタントコーヒーやレギュラーコーヒーが朝食の定番となった背景には、この1960年の制度改革がありました。