『はらぺこあおむし』を語る上で欠かせないのが、りんごの中央にぽっかりと開いた小さな穴です。このりんごの穴の仕掛けは、単なるイラストのアクセントではなく、子どもが思わず指を差し込みたくなるインタラクティブな体験を生み出しています。
あおむしがりんごを「かじって通り抜けた」痕跡を立体的に体感できるこの穴あき製本は、出版当時としては極めて異例の試みでした。当時は絵本のページに穴を開ける加工技術のハードルが高く、エリック・カールのこだわりを実現するために日本の印刷所(凸版印刷)が製造を引き受けたという有名なエピソードも残されています。
指先を使って穴をなぞり、次のページへと視線を運ぶ動作は、子どもの空間認識能力や好奇心を強く刺激します。「あおむしがここを通ったんだ!」という実感こそが、世代を超えて子どもたちを夢中にさせる最大の秘密です。