現在、全国各地で運用が強化されている暴力団排除条例は、事業者に対して極めて厳格な姿勢を求めている。かつては「脅されて仕方なく支払った被害者」として同情された立場であっても、現行の法規下では反社会的勢力へ利益を供与した事業者として社名が公表され、銀行口座の凍結や取引先からの契約解除など、実質的な事業停止に追い込まれるリスクを背負うことになった。
巧妙を極める近年の徴収手口は、おしぼりや観葉植物の高額リース、形骸化したウェブマーケティングの顧問料、あるいは店舗防犯の警備名目といった「合法的な商契約」の形態を取る。経営者が「トラブルを避けるための必要経費」と自分に言い訳をして一度でも応じれば、その瞬間に暴排条例違反の共犯者としての足かせを嵌められる。知らぬ間に法を犯す側へと引きずり込まれるこの構造こそが、現代の徴収システムの最も恐ろしい罠である。