映画監督としてメガホンを取った2007年の『大日本人』において、松本は自ら巨大化するヒーローを演じ、世間から疎外される表現者の孤独をスクリーンに焼き付けた。あの作品で見せた哀愁漂う表情は、従来のテレビ芸人の枠を完全に逸脱していた。
その後、戦場をAmazon Prime Videoへと移し、熱狂的ヒットを記録した『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』では、実験的な笑いを仕掛けるプロデューサーとしての顔を確立。密室で芸人たちを監視する彼の眼差しは、冷徹なリアリズムと衰えぬ狂気を湛えていた。メディアの形態が変わるたび、彼の顔つきはその作品世界のトーンに合わせて自らを再構築してきたと言える。