『ジャンボーグA』を語る上で欠かせないのが、俳優・立花直樹が熱演した主人公立花ナオキの際立った人間性です。当時の特撮ヒーローの多くが「人格高潔で冷静沈着な防衛隊員」であったのに対し、ナオキは血気盛んで短気、時に復讐心に囚われて周囲と激しく衝突する、極めて生々しい若者として描かれました。
物語初期、ナオキは兄の命を奪った怪獣への怨嗟から単身で無謀な突撃を繰り返し、地球防衛組織PAT(Pan Attack Team)の作戦を妨害してしまうことすらありました。PATの隊員たちもまた、民間人でありながら不可解な力で怪獣を倒すジャンボーグAに対して初めは疑念を抱き、ナオキの独断専行に対して厳しい叱責と対立を繰り返します。
しかし、数々の敗北や愛する人々を巻き込む過酷な戦いを通じ、ナオキは「怒りに任せて力を振るうことの愚かさ」を痛烈に学びます。自らの未熟さを自覚し、PATの伴野隊長や隊員たちとの間に言葉を超えた信頼関係を築き上げていくプロセスは、単なる勧善懲悪を超えた骨太なビルドゥングスロマ(成長小説)としての輝きを放っています。
敵対する侵略者グロース星人の幹部陣(冷酷非情なマッドゴーネ、怪異な魔術を操るサタンゴーネ、妖艶かつ執念深いデモンゴーネ)が仕掛ける心理戦や人間不信を煽る作戦の数々が、ナオキの内面的な成熟をより過酷に試す試練として機能していた点も見逃せません。