インターネット上で「飲んではいけない」と語られる背景には、有効成分が同じであっても血中濃度の微小な変化が生命に直結する薬剤が存在するという事情がある。医療現場で特に変更に慎重を要する「注意すべき15の薬効分野・分類」を整理すると、その実態が見えてくる。
具体的には、①血中有効濃度の安全域が極めて狭い抗不整脈薬、②投与量の僅かなズレが発作再発につながる抗てんかん薬、③拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤、④微量調整が必要な甲状腺ホルモン等の狭安全域ホルモン製剤、⑤血中濃度の持続制御が肝となる徐放性降圧薬が挙げられる。さらに、⑥皮膚からの吸収速度が基剤に左右される経皮吸収パッチ剤、⑦角膜透過性や粘度が変わる点眼薬、⑧添加物の違いで塗り心地や伸びが異なる皮膚科用軟膏・クリーム、⑨有効域と中毒域が隣り合わせの強心剤(ジギタリス製剤等)、⑩出血や血栓のリスクを左右する抗凝固薬(ワルファリン等)も該当する。
加えて、⑪精神状態の安定に繊細なコントロールを要するリチウム塩等の精神神経用薬、⑫気管支への到達速度が異なる吸入ステロイド・吸入麻酔剤、⑬分子構造の完全一致が難しいバイオシミラー(バイオ後続品)、⑭微細な血中濃度維持が必須の特定抗がん剤、⑮高齢者や小児用に特殊な用量設計がなされた製剤の計15分野である。これらは「飲んではいけない」のではなく、「安易な自己判断や事前の説明なしでの切り替えに厳重な注意が必要な領域」なのだ。