視覚世界の特異性を世界に知らしめた先駆者といえば、動物学者であり自らもASDであることを公表したテンプル・グランディン氏だろう。彼女の自伝的エピソードを描いた映画『テンプル・グランディン〜自閉症とともに』は、Netflixなどの配信プラットフォームでも再評価され、彼女が世界をどのように「高解像度の画像データ」として捉えているかを鮮烈に描いた。
グランディン氏は、自らの思考プロセスを「フルカラーの映画ライブラリを検索するようなもの」と表現する。色の濃淡や光の反射に対する並外れた感受性は、家畜施設の革新的な設計という天才的業績を生んだ一方で、過剰な視覚刺激による消耗との戦いでもあった。NHKスペシャル『発達障害〜自分らしく生きる〜』(現在もNHKプラス等で関心を集めるテーマ)でも取り上げられたように、彼女が提示した「視覚優位」という概念は、発達障害の色彩感覚が持つ強みと脆弱性の両面を理解する決定的な鍵となっている。