バスが専用エリアに停車すると、巨大なライオンが音もなく車体に身を寄せる。大型トングで厚切りの生肉を差し出すと、湿った巨大な鼻先が格子越しに押し付けられ、骨を噛み砕く鈍い音が耳朶を打った。ガラス越しでは絶対に体感できない肉食獣の気迫に、車内には歓声と息をのむ音が同時に広がる。
給餌の対象は猛獣だけではない。長い首を器用に傾けて目線を合わせてくるキリンや、鋭い角を持つレイヨウ類など、草食動物ゾーンでの触れ合いも見事な対比を描く。動物ごとの異なる体温や食性を五感全体で受け止める時間は、子供だけでなく大人の知的好奇心をも強く刺激する。