藤村俊二さんの美学は、彼がこの世を去った後のセレモニーにも色濃く反映されました。2017年2月に行われたお別れの会は、通常のようなしめやかな葬儀とは一線を画すものでした。
長男の亜実さんは、生前の父の言葉や人柄を尊重し、別れの挨拶において「献杯(けんぱい)」ではなく、笑顔でグラスを掲げる「乾杯(かんぱい)」の音頭を取りました。「父は人が悲しむ顔を見ることが大嫌いでした。最後もお洒落に、楽しく送り出してほしいと願っていたはずです」という想いが込められたこの乾杯は、多くの参列者の涙と笑顔を誘いました。
生前、藤村さんは周囲に対して「派手なことはしなくていい」「静かに消えるようにいなくなりたい」といった思いを口にしていました。あえて重々しい遺言を残すのではなく、生き様そのもので周囲にスマートな人生の歩み方を示し、最後まで「おヒョイさん」らしく軽やかに幕を下ろしたのです。