さくらももこさんの真骨頂は、自身のプライベートや身体感覚すらも容赦なくユーモアに変えてしまう圧倒的な客観性にありました。『もものかんづめ』『さるのこしかけ』『たいのおかしら』の初期三部作は、日本のエッセイ文学に革命をもたらしました。妊娠、出産、夫との奇妙な日常、体の不調までもが、腹を抱えて笑える極上の読み物に変わる快感。
それまでの少女漫画家といえば、どこか神秘的でファンタジックなベールに包まれているのが常識でした。その壁を木っ端微塵に打ち砕き、「みっともない自分」を赤裸々にさらけ出して見せた彼女のスタイルは、当時の女性たちに強烈な解放感を与えたのです。
夫や家族との関わりをときにドライに、ときに情愛たっぷりに描き出す独特の間合いは、日本の文学界においても唯一無二の文体として今なお高く評価されています。